小島亜伊

記憶の奥にある揺らめく思いは、写真で残すことはできない。

それを彩り鮮やかな色で表現することも難しい。

だけど、滲んだような色むらや 重ねた色から生まれ出るマットな質感の奥に、記憶の中では薄れてしまう微妙な思いを表現できるのかもしれない。

独自の表現で、七宝焼のアートジュエリーを制作している【小島亜伊】さん。

そんな作家からのメッセージです。

企業だと、生産性や販売効率を第一に考えるかもしれないけれど、
個人であれば、一見無駄にみえる活動にも、心をこめて取り組むことができます。
私にとって大切なのは、モノづくりを通して得られる、損得を越えた誰かとの繋がりです。

自分が繋がりたいところに、ちゃんと繋がっていくために、
高校、大学と、モノを創り続けてきました。
自分のクリエーションの力が強くなれば、繋がりたい人に繋がれる。
そして繋がれば、新しい世界から素敵な何かをインプットできて、また新たなクリエーションの力になります。
「繋がること」 と 「創作すること」、この2つが循環することは、個人作家ならではの楽しいコトだと思うのです。

作家とお客様が出会うことで、お互いが自分らしい、楽しい時間を過ごせるとよいですね。

七宝焼を文字盤に使った「彫金手法の腕時計」も制作しています。

身近な装飾品としては馴染みが薄くなった七宝の工芸品ですが、誰もが暮らしの中でイメージしやすい腕時計に七宝焼技法が使われることで、伝統工芸が親しみのあるものになるかもしれません。

そして、

今回のイベントテーマ「ささやかな循環」に沿った作品。

七宝の土台に使う銅板の端材と、七宝釉薬を洗う際に出る廃棄素材、ガラス質の微粉(注)を使用しています。

まず小さい銅端材を繋ぎ、立体的に遊びを持たせたデザインにしていきます。廃棄する素材は形が様々、それゆえに作り手にも予期せぬ形状が生まれることも。


銅端材を立体に合わせ…


廃棄されるガラス質微粉を使うと…

そして銅端材の造形後、廃棄ガラス微粉をのせて焼成すると…
七宝制作の過程で廃棄物で終わってしまっていたものが、想像を越えて面白いものに生まれ変わりました。

注)釉薬は使う前に水篩(すいし)という釉薬を洗う作業をします。水篩をする理由は、釉薬の粒を揃える事と、粉塵を取り除いて綺麗な色を出すためです。その時に出る微粉塵を含むうわずみは、通常は乾燥させてから廃棄します。その微粉を今回リユースしました。

+++crefes+++